サンタカタリーナ農園の北に位置するグァテマラ南部のチマルテナンゴ県に
今回当店初登場の農園、エル・レティロ・デ・キサヤはあります。
東京ディズニーランド約10個分、540haという広大な土地で、
コーヒーは栽培されています。
ウェットミルも併設された大規模な農園ですが、
大規模だけではなく清潔できめ細やか、
高いレベルの生産体制が整った優良農園です。
ミルは丘陵地の上に建てられており、
その緩やかな傾斜を利用して水路や精製設備が配置されています。
また地形の特性上、風が常に吹き抜けるため
乾燥工程にとってもメリットのある場所でもあります。
土壌分析による適切な施肥、ビニールテント内に設置された乾燥ベッド、
有機質を含んだ水の再利用をするなど環境にも配慮されています。
上質なミルクチョコレートを思わせる甘みとコク、
それが舌の上で溶けてふわっと広がっていくような質感。
コーヒーのほどよい苦みと香ばしいフレーバーに
ミルクチョコレートを思わせる優しい甘みが重なり、
滑らかな質感と合わさり心地よい飲み心地です。
お気に入りのチョコと合わせるなど、是非お試しください。
【概要】
農園名:エル・レティロ・デ・キサヤ
農園場所:チマルテナンゴ県サン・マルティン・ヒロテペケ市近郊
所有者:オルテガ家
管理者:ファン・ルイス・バリオス・オルテガ氏 Juan Luis Barrios Ortega
標高:農地1,720-1,755m ミル1,755m規模:540ha。内54haがコーヒー、他は林業。
生産量:約500袋シェード:松、グラビレア、インガ
栽培品種:ブルボン、パチェ、ティピカ、パカマラ、マラゴジペ、ゲイシャ※パカマラ1.5ha、マラゴジペ2ha、ゲイシャ2haを試験栽培。成功した品種でパチェ区画の一部を植え替え予定。
収穫:ピッカーによる手摘み。その年の実のつけ方によるが概ね3回程度。タイミングはファン・ルイスが判断し支持する。※収穫の精度が非常に高いことを現地で確認済 ウェットミル:レティロ・デ・キサヤミル※ミルは2009年に設立。常に風が吹き抜け乾燥工程に適している事から、丘陵地上部を建設場所として選んだ。ミルの設計にもこだわりがあり、チェリーの 搬入場所から乾燥場所のパティオまでなだらかに下っていくよう設計することで、労働者の負荷を大きく低減している(別記参照)。2013年にはミル内での 作業を担っている期間労働者用の住居を建設。より労働者が働きやすい環境作りを積極的に行っている。また、非常に乾燥している土地で水が貴重なことと環境 負荷低減の観点から、ウェットミルで使用する水は浄化と再利用を随所で行っている。14-15クロップ時にグリーンハウス付乾燥ベッドを設営し、試験使用 2年目。良さそうなので一級品はできる限りこちらで行っている。レティロミルではアルブレス家が所有するエル・レティロ・デ・キサヤ、ラ・メルセーの他に近隣農園の精製を請け負っている。
精製:ウォッシュト 1. フローター選別:タンクに沈んだチェリーはパルパーへ。浮いたチェリーの中でも大粒のもの(片側不完全果実)は選別し同じパルパーに送る。 2. 果肉除去 3. パーチメントの比重選別:沈んだパーチメントは発酵槽へ、浮いたパーチメント、剥けなかったチェリーは除去。 4. 発酵槽にて表面をシートでカバーし温度の低下を防ぎながら12時間程度発酵処理※気温が低く発酵が進みにくいため以前は36hかかっていたが、リサイクルウォーターを使用し有機物を増やすことで発酵を促進させ時間を短縮した。5. 水洗マシン投入前のタンクにて比重選別6. 水洗マシンにて洗浄7. パティオもしくはベッド乾燥 ※一級品はできるだけグリーンハウス内のベッド乾燥にしているが容量不足の場合は一部パティオ乾燥。ベッドは4段だが最上段は日よけに使用するだけでパーチメントは置かない。下段から上段へパーチメントを移動していき4日×3段=12日で仕上げる。室内は45℃程度。
ドライミル: 1. 脱殻 2. 風力選別 3. スクリーン選別 4. 比重選別 5. 色差選別※比重選別は2度がけ※色差選別は異なる機械で2度がけ(選別精度が良好な場合は1回)
<労力軽減や安全確保など生産者へ配慮したウェットミル> パルパー、発酵槽はしっかりした建物内にあり、作業員の安全性を確保するため、段差や機械周辺部には、手すりや柵などがきちんと設けられている。ウェット ミルは傾斜にそって作られており、生産者の体力的消耗をなるべく少なくする構造になっている。特に水路はなだらかに傾斜しており、パーチメントの比重選別 時にオールでパーチメントを移動させる際の労力軽減を図っている。また、パーチメントをパティオに搬送する際の労力を軽減するため、水路出口に一輪車を接 続できるように設計されており、パーチメントを持ち上げずとも自動的に水路から一輪車にパーチメントが積み込まれる仕組みになっている。さらに一輪車には パーチメントの排出口がとりつけられており、運搬しながらパーチメントをパティオに散布できる構造になっている。これらの取り組みが認められ、UTZ Certified も取得している。 <水の再利用と廃棄時の浄化処理> この地域は雨が少ない為、水は貴重な資源。そのため、水の再利用を徹底している。 まず、パルピングから水洗までに使用した水は貯水槽に保管し含有物を一部取り除いておく。水路での比重選別に使用する水は新しい水を使用し、ここで使用し た水を前述の貯水槽に保管した水と混ぜパルピングから水洗の工程に再利用する。この地域は夜の気温が低く発酵時間が長くかかりがちであったが、一度精製に 使用した水を再利用することで発酵時間を短縮させる効果もある。汚水処理施設も保有しており、水を廃棄する場合はこの施設を通して浄化した後に近隣の沢に水を放出している。 <施肥> 1. pH調整剤(カルシウム等)を4月に撒く2. 土壌に間隙を作る目的でケイ素(化合物名は不明)を4月にまく3. コーヒーパルプから作った肥料に窒素、リン、カリウムを加えたものを6,8,10月にまく(240g/木)。4.カルシウム、ホウ素、マグネシウム、マンガン、モリブデン等を葉にスプレーする。4月末、6月初旬、7月中旬、9月初旬、10月末。※3,4は土壌分析、葉の分析を基に各成分の量を調整。<病気・害虫対策>標高が非常に高い為ブロッカ被害はないので対策は不要。サビ病は2009年に初めて到来。2013年に最も甚大な被害を受けた。現在は殺菌剤を使用しコントロールできている。
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